相撲決まり手白書 基本技(七手)

2020年11月6日

基本技は、全82手ある相撲の決まり手のうちの七手です。基本技は、取組の決まり手半分以上を占めているため、まず真っ先に覚えるべき決まり手といえます。基本技七手について詳しく説明しているので、それぞれの違いと特徴をしっかりと押さえましょう。

まずは基本技から覚えよう!

基本技は、文字通り最も基本となる決まり手です。普段の取組でも多く見られ、特に決まり手上位1.2の寄り切りと押し出しだけで、実に半分以上を占めています。逆にいえば、基本技さえ覚えれば取組の半分以上の決まり手を分かるということです。

基本技は、全部で7手あります。一見すると似たようなものがいくつかあるので、それぞれの違いをしっかり押さえましょう。

突き出し

突き出しは、相手の胸あるいは喉などを手のひらで強く突いて、土俵に押し出す決まり手。押し出す際には、互いの体が離れて勝負が決まる。両手を交互にだして相手を攻め立てる「突っ張り」を得意とする力士に多い。過去には、外国人力士初となる横綱・曙や41代横綱千代の山が、強烈な突きをはなつことで有名だった。

突き倒し

土俵の内外関係なく、突いて相手を突き倒す決まり手が突き倒し。もし突いて相手が土俵の外に出たとしても、倒れなかったら突き出しとなる。小柄な力士にも突っ張りを武器とした力士は多く、富士櫻、麒麟児、寺尾などが挙げられる。

押し出し

相手の体に手を当て、そのまま土俵の外へと押し出すと押し出しになる。手は両筈(もろはず)や片筈、のど輪など下から押し上げる様にあてる。相撲の最も基本となる技。寄り切りに次いで、取組では非常によく決まる決まり手の1つ。

*筈とは、親指と他の四本指をちょうどY字のように開くこと。

押し倒し

押し倒しは、土俵の内外関係なく筈にした手を当て、そのまま強く押し倒す決まり手。もし、強く押して相手が土俵の外に出て倒れなかったら、押し出しとなる。また、突っ張りからの突き倒しとの判断が難しいことでも知られている。

寄り切り

組んで体を密着させた状態で、前あるいは横に進んで相手を土俵に外に出すと寄り切りとなる。組んだまま進む以外にも、投げ手などの崩し技を使ってから前に出る場合もある。相撲の取組では、最も多く見られる決まり手。

2016年初場所において、日本人力士としては実に10年振りの優勝を決めた琴奨菊が、必殺の左がぶり寄りで寄り切りを量産。

記事:【大相撲】決まり手「寄り切り」とは?最も多い決まり手!

寄り倒し

寄り倒しは、組んで体を密着させた状態で、土俵の内外関係なく前に進み出て相手を倒すこと。寄りを残そうと土俵際で踏ん張る相手を倒そうとするときに多く見られる決まり手。

1988年11月場所千秋楽結びの一番、横綱・大乃国が当時53連勝中の横綱・千代の富士を破ったときの決まり手でもある。

浴びせ倒し

組んだ状態で、相手の腰が砕けたり、弓なりに反った時に、のしかかるように自分の全体重をのせて倒すと浴びせ倒しとなる。寄り倒しとよく似ているが、一般的には土俵の中で決まると浴びせ倒し、外だと寄り倒しといわれている。過去には、欧州初となる大関・琴欧州が得意とした。

まとめ

突き出しと突き倒し、押し出しと押し倒し、寄り切りと寄り倒し、いずれもそのまま土俵の外へ出すか倒すかの違いです。また、突きと押しは、手が触れた状態で勝負が決まったか否かの判断となります。

基本技は7手しかないため、ポイントを押さえられればすぐに覚えられます。さらに基本技を覚えると、取組の決まり手も自分である程度分かるようになるため、取組を見るのが一層面白くなります。