「角界」とは?言葉の意味や由来について

2019年5月6日

「角界」という言葉は、ニュースなどでよく使われています。しかし、耳慣れた言葉ではあるものの、その意味ついて詳しく知らない人が多いのも事実。そこで当記事では、角界の意味や角界の「角」の由来について説明します。角界について詳しく知りたい方はどうぞ寄ってってください。

角界とは「相撲界」のこと!

辞書にも記載されている通り「角界(かくかい、かっかい)」とは、相撲社会全体を指し示しており、「相撲界」の俗称にあたる言葉です。そのため、角界とはいわずに相撲界と言っても何ら問題はありません。むしろ、相撲界が正式な言い方です。

ですが、皆さんもよくご存じの通り、すでに「角界」という言葉の方が世間に広く浸透しています。相撲界という言葉が用いられる機会はあまり多くありません。現在において、その使い分けは完全に好みの範疇と言えるでしょう。

筆者も意味を知って以降、専ら角界を口にしています。

角界の「角」の由来と意味

おそらく、「角界」という言葉を初めて目にした大半の方が、「角」という漢字に目がいくはずです。「角」が持つ由来と意味、知っておいて損はありません。

昔は相撲を「角力」と書いていた

近年において、「すもう」という言葉に対して「相撲」という漢字が当たり前のように用いられています。ですが、江戸時代では相撲以外にも「角力」という漢字を当てている場合が多く、これは明治時代まで続いています。(明治・大正期だと「角觝」も当て字に使われることも。)ためしにパソコンで「すもう」と入力して変換してみてください。「角力」という漢字が候補としてすぐ出てくるはずです。

つまり、相撲界を「角界」と呼ぶようになったのはその名残となるわけです。そのため、角界は比較的最近の言葉だということが分かります。また、「好角家」、「角通」などといった言葉も同様の理由から誕生しています。

ちなみに「相撲」、「角力」、「角觝」のいずれも元々は中国の言葉です。読みも中国では、角力は「かくりき」、角觝は「かくてい」と音読みします。この言葉が日本に伝わる前は、「須末比」、「須末布」といった言葉が用いられています。ゆえに「角觝」という言葉は、現在だと中国相撲を指す場合に用いられることが一般的です。

「角」は力比べを意味する

日本において「角」という漢字は、「物のとがって突き出した部分」や「動物のツノ」として用いられる場合がほとんどで、相撲とは全く関係のないようにみえます。しかし、頭と頭を互いぶつ合う中国相撲が、牛と牛との「角」の突き合わせに似ていることより、「角力」という言葉が誕生したと言われています。そのため、角界の「角」には「争う、戦う」といった意味が本来備わっていることになります。

現在の中国では「角力」とは「力比べ」を意味する言葉として用いられています。いうなれば角界とは「相撲の世界」であり、「力比べの世界」ともいえるのです。

角界において「番付」は絶対!

「番付」は角界を象徴する制度の1つ。端的に言えば力士の位や階級を示したものです。最高位はよく知られている「横綱」、その後は「大関」、「前頭」と続きます。

古来より角界では「番付1枚違えば虫けら同然」、「番付が一枚違えば家来同然」といわれています。番付に応じて、身なりや付き人などの変化があるばかりでなく、仮に同じ部屋に所属する弟弟子が関取になって兄弟子の番付を抜いてしまうと、それまで呼び捨てだった呼び方が「関取」に変わってしまいます。

また、番付が幕下以下だとあくまで「構成員」扱いで、給料も発生しません。ゆえに十両になって初めて一人前の力士として認められることになります。

まさに番付は力士たちににとって絶対的なものであり、番付の上がる下がるは死活問題にもなるのです。

記事:【大相撲】番付の意味と決め方について詳しく解説!

総括

  • 角界とは「相撲界」を意味する1つの俗称。
  • 「角」という漢字が用いていられているのは、「角力(すもう)」の語が由来。
  • 角界では「番付」が絶対。

参考文献
日本相撲大鑑
テレビでは言えない大相撲観戦の極意 (ポプラ新書)