貴乃花対朝青龍~これぞ横綱!平成の大横綱貴乃花~(2002年9月場所)
2002年秋場所は横綱・貴乃花が8場所振りに出場した場所だ。ちょうど朝青龍が頭角を現してきたころでもあり、前場所でも12勝3敗と好成績を収めている。日本人力士が朝青龍に矢継ぎ早に倒されて行く中、そこに待ったを掛けたのが貴乃花だった。
貴乃花対朝青龍は、これぞ横綱!と貴乃花がその取組で横綱とは何たるかをまざまざと見せつけて、まさに歴史に残る一番としている。
2002年9月場所あらまし
2001年5場所で、貴乃花は右膝負傷のハンデを乗り越え劇的とも言える優勝を果たした。しかし、この優勝と引き換えに、貴乃花の右膝の状態は想像以上にひどく、手術を終えた後も1年もの休場を余儀なくされている。ゆえに2002年9月場所というのは、そんな貴乃花が実に8場所振りに復帰する注目の場所だった。
その間、角界では凄まじい勢いで力をつけたモンゴル人力士の朝青龍が、7月場所終えたころに大関昇進を果たし、次世代の力士として新たな時代を築こうとしていた。そして、朝青龍にとってこの場所は、初めて大関として土俵を踏んだ場所でもあった。
貴乃花、執念の一番!朝青龍は完敗。
11日目に訪れた貴乃花対朝青龍は、ともに優勝するためには何としても負けられない一番となった。この日までに朝青龍は大関・魁聖に一敗を喫するも、武蔵丸、千代大海らとともに9勝1敗のトップに位置付けていた。一方、貴乃花も8勝2敗で、それら力士に次いで優勝圏内にいる。
11日目も朝青龍はいつもの如く気合い十分。対する貴乃花もまたいつもの如く落ち着いた様子。この日、両者の取組は、期待を裏切らない素晴らしい名勝負となった。
取組は、立ち合いから朝青龍が果敢に突っ張るかたちとなり、貴乃花も引かずに真っ向から受けて立っている。途中、貴乃花は、はたきつけようとするも朝青龍に逃げられ、再び朝青龍が突っ張るかたちに。貴乃花はその突っ張りをものともせずに、徐々に距離を詰めるも朝青龍に双差しにされてしまう。そこから、朝青龍は右足を引っかけて外掛けを決めようとするも、貴乃花には全く効かずに最後は上手投げで敗れてしまった。
これぞ横綱!朝青龍はあらゆる仕掛けを講じたが、後の先で貴乃花に完敗した。貴乃花は、まさに平成の大横綱ここにあり!と呼ぶに相応しい取組を披露したといえる。また、朝青龍が土俵を後にして人目につかなくなった瞬間、余程悔しかったのか怒号を上げて立ち去ったことも強く印象に残る場面だ。
その後、朝青龍の時代が到来!
こうして歴史に残る一番を制した貴乃花は翌日以降も白星を重ねるも、千秋楽で武蔵丸に敗れて優勝を逃してしまう。この時、貴乃花12勝3敗、武蔵丸13勝2敗と、わずか1勝差だった。
朝青龍は10日目までは優勝を目されていたが、貴乃花に負けて以降、先の取組で意気消沈したためか4連敗してしまい10勝5敗で場所を終えている。
優勝を逃したとは言えその力を存分に見せつけた貴乃花であったが、やはり右足の状態が芳しくなく、11月場所では再び休場に入り、翌1月場所を最後に引退している。
対する朝青龍は、その後に11月場所、翌1月場所に連覇を果たし、大関になってからわずか3場所で横綱昇進を果たしている。そして、横綱・朝青龍の時代到来は周知の通りである。結局この貴乃花との一番で朝青龍の才能は完全に開花したとも見て取れる。
千代の富士対貴乃花で貴乃花が勝利して新時代到来を告げたが、こちらは勝った貴乃花が朝青龍の力を引きずりだすかたちでの交代劇となった。そういった意味では、やや皮肉めいているようにも感じてしまう。
関連作品
・大相撲の見かた (平凡社新書)
・大相撲名力士風雲録 4―月刊DVDマガジン 貴乃花 (ベースボール・マガジン社分冊百科シリーズ)
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高 見 盛 |
旭 天 鵬 |
霜 鳥 |
雅 山 |
琴 龍 |
土 佐 海 |
栃 乃 洋 |
若 の 里 |
闘 牙 |
隆 乃 若 |
朝 青 龍 |
武 双 山 |
千 大 海 |
魁 皇 |
武 蔵 丸 |
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霜 鳥 |
雅 山 |
貴 ノ 浪 |
旭 天 鵬 |
土 佐 海 |
高 見 盛 |
隆 乃 若 |
琴 龍 |
魁 皇 |
千 大 海 |
貴 乃 花 |
武 蔵 丸 |
若 の 里 |
琴 光 喜 |
武 双 山 |
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