【大相撲】「力水」と「力紙」とは?
「力水」は、土俵に上がった力士が口に含む水です。この水一つとってもきちんとした意味があり、当記事では、その意味や所作などについて詳しく解説しています。加えて「力水」ならぬ「力紙」についても、合わせて解説します。
「力水」とは?
「力水」とは、土俵に上がったそれぞれの力士が四股を踏み終えた後に、土俵下で待機している控え力士より“つけて”もらう水のこと。角界では、土俵上で力水を渡すことをもっぱら「力水をつける」といいます。
力水の意味
力水は、お清めの意味をもち、「化粧水」と呼ばれることもあります。神社の手水(ちょうず)とほぼ同義。また、勝ち力士が力水をつける行為には、その勝ちにあやかるといった意味が含まれ、土俵を戦場に見立てた水盃ともいわれています。
力水の位置と所作
力水は、吊り屋根の南西にあたる「白房」と南東にあたる「赤房」にある水桶に入れられており、控え力士はその水桶にある柄杓で、力士に力水をつけることとなります。その際、力士は力水を一口分だけ口に含み、飲むことはありません。
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力水をつけられるのは勝利した力士のみ
力水をつけることができるのは前の取組で勝利した力士のみで、負けた力士は次の力士に力水をつけることなく、その後の取組を控えている力士が力水をつけることになります。また、千秋楽のこれより三役の最初の取組に限っては、ともにその次の控え力士が力水をつけることになります。
例外として、勝利力士なし、付け人がいないといった場合は呼び出しが力水をつけることもあり、本割でない優勝決定戦では「力水」をつけることがありません。
力水は十両以上からつけるのが基本
基本的に力水をつけるのは、十両以上の取組からです。ただし、取組が予定より早く終え、時間にゆとりがある場合だと、幕下の上位から水をつけることもあります。
江戸時代が力水の始まり
水の使用そのものは、平安時代の節会相撲より確認されているものの、土俵下に力水が置かれるようになったのは江戸時代からとみてほぼ間違いありません。
さらに言えば、戦前だと仕切りの際に何度も力水をつけることが珍しくありませんでしたが、かの横綱・双葉山が無駄を省くために力水を1度だけしかつけなかったことが、その後のスタンダードにつながっています。
力水は「もち吉」の水!
力水の水、実はあれ、米菓製造会社の「もち吉」が販売している水で、大相撲では1992年の3月場所から使用されています。一般の方でも普通に購入できるので、気になる方は公式サイトの通販などで確認してみるとよいでしょう!
「力紙」とは?
力士が力水で口をゆすいだ後、その口を拭く紙こそが「力紙」です。「力紙」は、「化粧紙」とも呼ばれ、力士は、口以外にも体全体を拭いて、力水同様に体を清めます。また、取組で髷がほどけた際にも、「力紙」を使って髷を結わえます。
ちなみに紙は半紙を半分に切り2つ折りしたもので、行司だまりに置かれています。
総括
- 力水は、お清めの水。
- 力士に力水を渡すことを、「力水をつける」という。
- 勝利した力士だけが力水をつけられる。
- 力水をつけるのは、基本は十両以上から。
- 力水の始まりは江戸時代。
- 力紙は、力水同様にお清めの意味がある。
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