貴乃花対若乃花~史上初の兄弟対決~(1995年11月場所)

2019年4月23日

 1995年11月場所、千秋楽の優勝決定戦の舞台に上がったのは、12勝3敗を決めた横綱・貴乃花と大関・若乃花と血を分けた兄弟です。宿命とも運命のイタズラとも見て取れるこの兄弟対決は、史上初となる同部屋兄弟対決となり、大相撲史上に残る一番です。取組そのものは凡戦になりましたが、是非とも知っておくべきです。

1995年11月場所あらまし

 当時は曙、貴乃花二人横綱の時代で、特に貴乃花はこの年から横綱になってノリにのっていたときでもある。対する若乃花も、二人の横綱に及ばないにしても先場所が10勝5敗とそれなりの成績を収めていた。

 そして迎えた11月場所では、貴乃花が初日、曙が二日目にまさかの黒星を喫し、若乃花もまた三日目に湊富士に敗れてしまう。

 こうなると俄然、大関・武蔵丸に優勝の期待がかかるものの、その武蔵丸も6日に敗れて、最終的に10勝5敗として場所を終えている。さらに曙も九日目に土佐海との取組の際に左腿を痛めてしまい、十日目以降は休場を余儀なくされている。

 結果として、千秋楽を終えるころには貴乃花、若乃花がともに12勝3敗として、奇しくも史上初の兄弟対決となった。

優勝決定戦は若貴対決となるも内容は凡戦

 同じ釜の飯を食って過ごしたというレベルではない。なにせ兄弟、釜の飯はおろか風呂、便所、一心同体とも言える環境で育ってきているのだ。そして、ともに力士となり、「若貴ブーム」として時代を席巻していた二人でもある。そんな二人がこれを勝てば優勝という場面で戦うことになるとは、何とも皮肉にも思える。

 現在でも「若貴対決」として今なお語り草となっている取組だが、取組そのものはごくごく平凡のものとなった。それどころか、取組中に貴乃花が覇気のないように見えたことから、八百長疑惑が出る始末。結果は、若乃花が下手投げで勝利し2度目の優勝を飾る。

後のインタビューで貴乃花は「やりにくかった」と答えて、先の八百長疑惑を増長する羽目にも。期待された激しい取組でなかったことに違いはないが、兄弟なのだから当たり前だと思ってしまうのは、筆者だけだろうか。

 取組内容はさておき、今後も早々には出来そうにない「若貴対決」と銘打ったこの対決。大相撲の名場面であることに異論はない。

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星取表199511月場所
若乃花123敗(優勝)





















 

 
貴乃花123